space×drama2010開催にあたって
今年もまた、劇場寺院を舞台にした夏の演劇祭の時期となりました。関西小劇場を中心に活躍する劇団が相互に支え合い、切磋琢磨し合うこと、これが應典院ならびに應典院寺町倶楽部が提案する、劇団ひいては演劇界を育てていく、ひとつのかたちです。とりわけ、そうした演劇祭にspace×dramaと題しているのは、直径14メートル、高さ7メートルという円筒形の空間(space)に、多様な劇団の多彩な物語(drama)が産み出される、という意味に他なりません。無論、それらの物語は、劇団によって繰り広げられる世界に出演者のみならず、舞台を支えるスタッフも観衆も浸ることによって意味が深まるものです。
1997年に再建されて以来、應典院が「日本で一番若者が集まるお寺」と紹介されるのは、このspace×dramaが象徴するように、思いを形にしようと表現活動に取り組む方々が集まっているためだと確信しています。ゆえに、私たちも表現の場の進化と深化を求め、2008年度より、設立5年以内という参加劇団の制約を取り払うことといたしました。今年度は従来の枠組みに沿った「若手支援枠」に3劇団、週末公演の「一般枠」に3劇団、合計6劇団が優秀劇団の座を競い合いつつ、昨年の優秀劇団との協働プロデュース公演と、過年度の参加劇団の特別招致公演と、内容は目白押しです。どうぞ多方面からのご関心を頂戴したく存じます。
應典院主幹・應典院寺町倶楽部事務局長 山口洋典
space×dramaとは
97年、10月第一回目の舞台芸術祭「space×drama97」を開催。平田オリザ氏のワークショップや上海太郎氏の一人芝居、南船北馬一団の公演等、音楽、演劇、舞踏の様々なジャンルの舞台芸術を発表した。98、99年は、基盤の整備を図るため、通常の演劇上演及び、各種セミナーや「寺子屋トーク」と銘打つ講演会に力を入れ、翌2000年1月から2月にかけて、第2回目の舞台芸術祭「space×drama2000」を開催。参加した劇団が実行委員会を結成し、公演終了後にトークセッションを行うなど、現在の流れの原型が定まった。締めくくりには、劇団「青い鳥」主宰の芹川藍さんのワークショップ及び、津村卓さんのトークライブを行い、若手とベテランの融合を図った。
2003年に入り、転換点を迎え、それまで、様々なジャンルの舞台芸術を発信する場であったものを、結成5年以内の若手劇団を支援するスタイルに移行した。劇団の制作者を育成する機会を設け、関西小劇場が慢性的にかかえる制作者不足を何とか解消していくための一助にしていくための施策となる。この年から、参加した劇団から、協働プロデュース※対象劇団を選出することになり、最長2年間に及ぶ長期の劇団支援をはじめた。
2008年度には従来の「結成5年」の劇団による平日公演という条件を「若手支援枠」とし、結成年数を問わない「一般枠」を追加。劇団どうしのよい競争的環境の創造に努め始めた。
應典院寺町倶楽部とは
應典院寺町倶楽部は、1997年4月に再建の劇場型寺院・應典院を拠点に、同年5月に設立された、多彩な芸術文化活動を推進するアートNPOです。楽しみ、学び、癒しの場として寺院がまちに活かされるよう、生活文化に根ざしたアートに目を向けています。
主に下寺町の北端にあるモダンな寺院「應典院」(第19回大阪まちなみ賞受賞)にて活動しています。2006年度から2009年度までは大阪市ゆとりとみどり振興局の「現代芸術創造事業」を受託し、港区のpiaNPOで「築港ARC」プロジェクトを展開してきました。
表現活動を通した社会的な問題提起と人材育成の場「コモンズフェスタ」・出会いと気づきと学びと交流の場「寺子屋トーク」(不定期・年3〜4回)・生と死の連続性を見つめる学び合いの場「いのちと出会う会」(毎月第3木曜日)、表現活動を通した社会的な問題提起と、若者劇団の相互研鑽の場「舞台芸術祭space x drama」、そして専門知と市民知が交わる語りの場「サイエンスカフェ」等を展開してきました。またコミュニティシネマシリーズとして、2005年より新作映画のプレミア試写会やデジタルシネマの上映会等も行っています。
いずれの活動も、多くの団体との協働を通して新しい知の創造と文化の創出を目指していることが特色です。
